さんま物語 1

2013年11月8日

女川の老翁のサンマにまつわるあれやこれや。
どうぞ、おつきあいください。
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第1回  さんまの旬

さんま物語      2013年11月

さんまは今年漁獲がかなりおくれました。
それは温暖化により海水温が例年よりも異常に高く北からの親潮(寒流)の勢力が弱く寒流に乗ってくるさんまがソ連海域から南下しなかった為です。
そこでふと気が付きました。  
お客様にさんまについていろいろとお知らせすべきではないかと。
そこで書き始めました。どうかお読みください。

第1回  さんまの旬
さて、さんまは回遊魚と言って日本列島近海を一年かけて北から南まで、南から北まで移動します。
夏場は千島列島(ソ連海域)の沖合から寒流(12℃~17℃が適温)に乗って南下を始めます。
プランクトン、沖アミ等の餌を食べながら、8月には道東沖、9月から10月にかけて三陸沖、11月福島沖、12月銚子沖、冬場は列島沿いを南下し九州まで回遊します。 
そして産卵のため北上を始め5月~6月頃三陸沖を通過し7月頃北海道沿岸、そして千島列島に戻ります。
そして又南下を始めます。(1年で成魚になり寿命は2年です)

温かかった南の海域で脂がなくなって痩せていたさんまは北上後、7月頃より千島列島(ソ連海域)から豊富な餌をたくさん食べながら脂肪分を取り込み少しづつ太りながら南下を始めます。
漁は一番早く7月初旬、北海道道東沖で刺網漁が始まります。
この漁は10時間ぐらい網を海中に入れて置いて網に掛かった魚を獲る魚法の為、早く掛かった魚と網を巻き上げる寸前に掛かった魚とでは違いがあり、鮮度が今一、それと季節が早く脂が良くのってない等がありますが、走りのさんまですので値段も高く、都会でお寿司の具になるのが大半です。
8月に入りますと順次小型漁船、中型漁船の解禁と共に北海道沖に南下したさんまが漁獲され北海道に水揚げされますが、やはり脂ののりは本当ではありません。
8月下旬には大型漁船が解禁となりさんまは一般市場にも出回り始めます。
価格はいくらか安くなりますが、まだまだ高く張り付いており、もうちょいと言う感じです。
それが9月になると漁も本格的になり価格も安く、しかも脂も充分に乗った魚が多くなって来ます。
ですから我々に言わせれば、おいしくなるのは9月に入ってからだと思います。
しかしお客様は初物は早くとの希望もありますので、その所が我々にとっては脂の乗りが未だなのになあとの思いで痛し痒しです。

文責:ワイケイ水産(株) 会長 木村 喜一