さんま物語 3

2014年8月24日

今回は私の独り言を聞いてください。
 「鮮サンマ」の差
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 一口に「鮮サンマ」といっても各商店の積送品には大きさ・鮮度・おいしさにかなりの差があります。
   
先ずは大きさです。

 専門的に言いますと45尾サイズ(165g~170g脂質≒30)、50尾サイズ(150g脂質≒25)、55尾サイズ(135g~140g脂質≒20)が宅配のサンマになります。

 45尾サイズはシーズンの漁獲に左右されるため各卸売市場では1尾当たりの値段が高くなるのであまり売れません。

 漁獲量として安定していることもあり、どうしても1尾あたりの値段が比較的安価になる50尾、55尾に売りが集中します。

一部の商店はこの45尾を冷凍品にして高くなるのを待って販売する場合も かつて あったようです。

 
 次に鮮度です。
「さんま物語り2」でもお話ししましたが、一番は「船内の鮮度保持」です。

 漁獲したさんまを船倉に入れる時の海水・真水・氷の割合を “魚に最適にする技術”を持っている漁船かどうかでそれは決まります。

 また、船側とすれば漁獲数量を第一に考えますので『少し鮮度が落ちても船倉一杯に詰め込む船』か、『鮮度を重視し余裕を持って魚倉に詰め込む船』で違ってきます。

「鮮度の良い魚は高く売れる」それを見極める仲買人が多い女川に、どうしても良い魚を持った漁船が多く入って来ます。

 操業中、 沖ではいつも大漁とは限りません。漁の悪い日は船倉が満杯にならず、翌日の漁でようやく満船になり帰航して水揚げする場合もあります。

一日早く漁獲したサンマと次の日に漁獲したサンマでは通常は鮮度が違ってきます。ですから1号品と2号品に分けられ、値段に差がつき入札されます。

 鮮度の違いはプロが見るとはっきり判るのですが、一般の方はもしかして判らない程度の鮮度の違いという場合もあります。

しかし鮮度が少しでも劣ると、お客様の手元に届いたとき内臓が溶け出す場合もあって、おいしさが落ちます。

 
そして、美味しさです。

 前にもお話ししましたが、サンマは6月頃痩せた体で女川沖を北上し、7月には千島列島付近でたくさん餌を食べ、大きく太く美味しくなっていきます。

 その漁場は分散しており、一足遅く北上したサンマは まだ痩せており、漁場はそれらが入り混じって形成されています。

成長したサンマが漁獲されるのは8月初旬から中旬で、北海道周辺の漁場は目の前ですから鮮度は抜群です。

 しかし餌を食べ始まったサンマは内臓に餌が残ります。お刺身はまずまずですが、焼サンマの腑を身と一緒に食べる通の方にとって、味はイマイチかな…と思います。

 
サンマにはこの様にいろいろあります。
青魚のサンマは「されど秋刀魚」なので、ぜひ良い店を、良い時期を見つけて買って下さい。

 
 
文責:ワイケイ水産㈱ 会長 木村 喜一